暗いトンネルの入り口 - 2020年3月12日
不採用の連絡を受けてから一夜が開けた。昨日の夜はいろいろ思いを巡らしたが決して落ち込むようなことはなかった。少しヤケ酒をあおったが深く眠れた。
いつものように5時に目覚めメールを軽くチェックしてランニングに出る。
コロナウィルスの感染被害も日々拡大していき、会社もとうとうオフィスクローズに方向に舵をきるようだった。社員は原則自宅勤務、必要のものしか出社を許可しないというお達しが発信されていた。
基本、通告後3月いっぱいまでは社内で他のポジションをさがす期間とされていたが会社に残るつもりはなかった。幸か不幸か、様々企画していたプログラムは無期延期となっていたので今すぐ手をつけるべき仕事はなかった。必要な電話ミーティングに出席し部下や同僚にアドバイスあたえる。時間はたっぷりあった。
一昨日までは、採用試験の勉強で一日あわただしく過ぎていったが、今日からそれも必要なくなった。
ランニングをしながら、今日一日のスケジュールを考えてみる。
まず転職サイトへ登録し、知り合いにリクルーターに連絡をしてみる。そして履歴書のアップデート、そんなことを考えながら公園に向かった。
公園を折り返していつもの神社に向かう。
なぜかここから頭の中が失敗した採用試験のことばかりが浮かんできた。そしてもし合格していたら、家族とゆっくりできただろうなと思うを胸が締め付けられた。
3人の子供達は全国一斉休校でうちにいる。うちではいいお父さんを演じなければならない。どんどん胸が苦しくなった。
そしてやってくるコロナ不況。仕事は見つかるのだろうか、そんな思いが急激に頭なの中に広がっていった。
神社の前は幹線道路で朝から車が多い。信号を渡ったところに神社がある。
信号待ちをしていると自分の体スレスレに一台のバイクが猛スピードで通過していった。
「一歩 体を前に出せば楽になれる。」
そんな思いが心によぎった・・・・
ふと気がつくと歩道の一番後ろまで後退して震えている自分がいた。