53才のリアルタイム リストラ日記

突然 リストラを通告された53才 サラリーマンの物語をリアルタイムでお伝えします。

戦いの日 (その1)-2020年3月11日

あっという間に採用試験の朝がきた。寝酒のワインが効いて短いながらも深い睡眠が取れた。

5時におきて、いつものランニングに出かける月が雲の間から光り輝いていた。なんかパワーのある光に感じた。月を見ながら西の方へ走っていく。20分ほど走ると公園にでる。公園を一周して神社の方向にむかう。今度は東に向かって。。

ほどなく明るくなり日の出前の朝焼けが美しい。神社についていつもの言葉を唱える。

「昨日も家族を大切にし、人に優しくし、自分を磨きました。どうか力をください。」

神社を出て空を見上げると東には朝日が、西にはうす明るい空に満月が残っていた。

朝食を軽くすまして、早めに採用試験を受ける会社の周辺に向かう。コロナの影響で時差出勤をしている人が多いようでいつもより帰って電車は混んでいる気がする。

駅について近くの喫茶店で準備をする。この一週間ノートに書き留めた内容を何度も何度も見返した。

あっという間に20分前になり、その会社のオフィスに向かった。

オフィスにつくと会議室に通された。試験開始、5分前。冷たい汗が額から流れる。

時間になって人事の担当者が資料を持ってきた。

第一部の開始。第一部に用意されていたのは架空の会社の事業戦略を策定する課題だった。A4サイズで15枚程度、その会社の取り巻く環境の説明、競合の状況、市場データなどが盛り込まれえていた。すべて英文である。

これを2時間で読み解かなければならない。資料を3分の2ほど読み込んだ時、時間はすでに1時間に達していた。

これでは絶対間に合わない。そう思い、着地を考える方法にかえた。ホワイトボードに発表すれ流れを書いて、そこの記載すべき内容を資料から拾い上げるようにした。

残り20分、なんとか形ができてきた。一気にパワーポイントに仕上げたときタイムアップだった。

休憩もままならないまま、プレゼンルームに入る。

そこには日本法人の社長、人事部長、ビデオ会議の画面にはアジア本社の役員3名がいた。

すぐに促されて20分プレゼンテーションを行った。

プレゼンはみんなそのまま聞いてくれた。その後、質疑応答。

厳しい質問の連続にたじろぐ、でも自分を繕うことはしなかった。自分の見落としていたポイントはきちんとそういい。素直にアドバイスをもらいノートに書き留めた。

最後に日本法人社長からの質問。

「資料の最後に営業サイドからの要求が書いてあったんだけど読まなかった」

「すみません。読み飛ばしてしまったかもしれません。」

素直に答えた。

社長は最後に「もしもう一度やり直せるとしたらどうする」

「実際のビジネスの現場でしたら、もう少し時間をかけて現状分析します。」

僕は。苦し紛れに質問の答えになっていない答えを呟いた。でもそれが自分の本心だった。

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